税務
2023/07/24
役員報酬設定時の注意点
こんにちは、名古屋税務3課の森山です。
今回は役員(理事)報酬設定時の注意点をお伝えします。
この注意点を見落としていたがために損をしてしまう可能性がありますので
是非最後までお読みください。
まず法人税の計算をするうえで
役員報酬として損金算入できるものとしては、次のものがあります。
① 定期同額給与
② 事前確定届出給与
③ 業績連動給与
これらのいずれにも該当しない役員報酬は損金にならないことになります。
ここではこれらのうち最も一般的な定期同額給与の要件について説明します。
定期同額給与の損金算入要件は以下の2つです。
① その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである
② その事業年度の各支給時期における支給額が同額である
ここまでは多くの方がご存じのことだと思います。
しかしこの要件を満たしていたとしてもその給与の中に
不相当に高額な部分がある場合は損金に算入されません。
この不相当に高額な部分は「実質基準」と「形式基準」により判定されます。
「実質基準」
報酬の額が職務の内容や会社の収益及び従業員に対する給料の支給状況、
会社の同業他社で、事業規模が類似するものの役員報酬を総合的に検討して、
職務の対価として相当であると認められる金額を超える金額
「形式基準」
定款や株主総会で定めた報酬の限度額を超える金額
さて税務調査で月額の役員報酬とは別で
役員に対する経済的利益を指摘され課税が発生することがあります。
その金額が定期同額給与に該当するか否かの判断基準は下記の通りです。
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経済的な利益とは、例えば次に掲げるもののように、
法人の行為によって実質的にその役員に対して
給与を支給したのと同様の経済的効果をもたらすものをいいます。
1 資産を贈与した場合におけるその資産の時価
2 資産を時価より低額で譲渡した場合における時価と譲渡価額との差額
3 債権を放棄しまたは免除した場合における債権の放棄額等
4 無償または低額で居住用土地または家屋の提供をした場合における
通常取得すべき賃貸料の額と実際徴収した賃貸料の額との差額
5 無利息または低率で金銭の貸付けをした場合における
通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額
6 役員を被保険者および保険金受取人とする生命保険契約の保険料の額の全部
または一部を負担した場合におけるその負担した保険料の額の負担額
役員に対して継続的に供与される経済的利益のうち、
その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは
定期同額給与に該当し損金の額に算入されますが、
その他のものは定額同額給与に該当せず、損金の額に算入されません。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm
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毎月おおむね一定である経済的利益は
定期同額給与に含まれることとなる=損金算入となるわけですが、
その金額が形式基準にひっかかってしまうと損金に算入されないこととなります。
つまり総会決議で決めた金額をそのまま実際支給額とする決議、議事録では
上記の経済的利益を指摘された場合に損金算入ができないこととなります。
あなたの会社は大丈夫でしょうか?
これを防止するために総会決議と議事録は実際の支給額よりも、
かなり余裕のある金額を設定するようにしましょう。