2024/12/16
名古屋の税理士コラム|マクラーレンは経費にできるか!?
名古屋の税理士、グロースリンク税理士法人
名古屋税務チームの森山です。
ある経営者からの相談
「マクラーレンは経費にできないって本当?」
先日とある経営者から相談を受けました。
その方、現在はベンツに乗っているのですが、
ベンツのディーラーからこのように言われたそうです。
「マクラーレンは税務署が目を光らせています。マクラーレンはヤバイですよ!」
典型的な営業文句だと感じます。
ベンツのディーラーでマクラーレンの話題をしたらそうなるのは予想できます。
しかし以前から4ドアならいいが、2ドアはダメという都市伝説があり、
同じようにベンツは良くてマクラーレンはダメという判断も実際にされるのでしょうか?
フェラーリはOKでクルーザーはNGだった事例
ここを整理するために参考になる事例が、
国税不服審判所の裁決(平成7年10月12日)です。
この事例は、フェラーリ(購入価格3,000万円弱、2人乗りのスポーツカー)が、
税務調査で「事業用資産」ではなく「役員賞与」として否認されたものです。
一方で国税不服審判所の判断は法人の減価償却資産と認めるというものになりました。
判断の基準として
・法人の出張旅費規程、社長に対する交通費の支給状況から考え、
社長の通勤、支店を巡回する際の交通手段として使用されたことが推認できる
・社長は複数の外車を個人で所有していたため、プライベートとの区別ができている
というものでした。
ちなみにこの事例ではフェラーリと合わせてクルーザーも否認されています。
クルーザーについてはフェラーリと違い、
・運航記録簿がなく、燃料の使用状況しか運航の証明ができない
・従業員の利用規定がなく、福利厚生として利用したことを裏付ける証拠がない
このため国税不服審判所の判断でも経費として認められませんでした。
判断の整理
法人税法には損金の定義として
「その法人の収益を得るために要した費用または損失」と規定されています。
(所得税法も似たような規定です)
事業との関連性の有無がその要件なのであり、
高級車はダメとか、2ドアはダメとは規定されていません。
ただし否認のきっかけとして、
高級車は事業の規模や用途に対して過度に高額な支出となり、
事業関連性が薄いと判断されやすいです。
先ほどの事例でも税務調査の際には事業用資産ではなく、
個人的趣味のものという判断がされています。
どちらも運航記録簿をつけていれば、
そもそも否認されることはなかったと考えられます。
日付、出発地、目的地くらいの簡単なものでいいので、これは必ずつけるべきです。
また接待用、福利厚生用であれば、運航記録簿だけでなく、
従業員に周知された利用規程、利用簿の備え付け、
鍵の保管場所を整備する必要もあります。
結論
「確かにマクラーレンはヤバイ!しかし経費にはできる!」
これには運航記録簿を作成することと、
プライベートとの使用は区別して事業で使っていただくこと、
その区別が難しい場合は法人へ車両の資料料を払うことが要件となります。
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