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2021/09/14
医療法人と同族会社の行為計算の否認
Q,医療法人の場合、同族会社の行為計算の否認は適用があるのでしょうか。
A,医療法人の場合、同族会社の行為計算の否認の適用は(原則)ありません。
法人税には国税側の「伝家の宝刀」とも称される「同族会社の行為計算の否認」の規定があります。
(法人税法132条)
これは、「法人税につき更正又は決定をする場合において『その法人の行為または計算』で、これを容認したら『不当に税額を減少させることになる』取引に対しては、税務署長の認めるところで法人税を計算できます。」というものです。かみ砕いていえば、
「法人税の更正決定の際に、違和感ある取引で、税額をものすごく減らしてしまうような取引はすべて税務署長の判断で『NO!』といえる」
という強烈なルールです。
厳密には「不当に減少とは何か」という視点がかなり不明瞭だったりで、税務署の立場から見ても適用へのハードルは低くはないのですが、伝家の宝刀と言われるのもうなづけます。
ただし、この同族会社の行為計算の否認は次の法人に対して適用される旨が明確にされています。(同法人税法132条)
同族会社とは一般的に「身内で運営される法人」として認識されがちですが、法令の世界では明確にされており、「会社」とつく法人は「会社法」に規定する法人として判断されます。(会社法2条、会社法3条)また、「会社」でなければ、誤認させるような名称を用いてはいけない、ともされています。(会社法7条)
したがって、税法の世界でも同族会社は「会社」が前提となっています。(法人税法2条1項10号)
したがって、「会社」でなければ「一」の要件での適用はありません。
きわめて限定的な条件下では「二」の要件での可能性は考える余地はありますが、その可能性はほとんどないといえます。
ただし、
・同族会社の行為計算の否認はありませんが、そもそもの事実が否定されるような取引については、同族会社の行為計算の否認以前の問題であること
・会社であるメディカルサービス法人には適用があること(一般社団形式をとっているMS法人には同じく適用がありません)
には留意が必要といえます。
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