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2022/02/05
医療機関の税務調査の論点を税理士が解説!
こんにちは。
グロースリンク税理士法人の医療1課でプレイングマネージャーをしております税理士の大久保と申します。
さて、本日のテーマは、「医療機関の税務調査」です。
私が医療機関を約15年担当してきた中で、医療機関の税務調査とされる論点についてお話しさせていただきたいと思います。
すべて列挙するととてつもない量になりますので、特にご注意いただきたい論点について述べさせていただきます。法人個人関わらず、医療機関として論点に挙げられやすい項目となります。
論点① 反面調査等
・医療機関のみならず、税務調査では「反面調査」という「取引の相手方への調査」があります。
相手方への確認も入りますので、表面的な形式のみを整える形では対応できません。
また、院長やご夫人などへ、予定の確認が入る場合があります。
直接の数字のみばかりでなく、周辺環境、行動なども調査対象となりますの注意しましょう。
論点② 収入項目
・収入は正しく計上されているか。
特に自由診療項目についてはチェックされます。
キャッシュレス決済が普及してきたとはいえ、いまだに現金取引が多い事項でもあり、
収入が正しく帳簿に反映されているかを確認されます。
・原価との対比、予約、予診と関連は適正か
歯科でいえば技工発注があったものが収入に計上されているか、物品販売と仕入の関係は適正か。
医科でいえば自費薬剤の仕入と処方量と収入金額の対比は適正か、予診票や予約表との関連は適正か、といった、
単純に帳簿上の計上金額のみならず、それと関連する資料を確認し、計上が適正か、確認されます。
・未収金は適正に計上されているか
医療機関は行政との関連も強く、行政からの委託料、意見書料、検診収入など様々な入金があります。
これらは、「実施⇒請求⇒審査⇒入金」と一定のサイクルがあり、
決算前に実施したものが決算後に振り込まれてくることが多々あります。
それらが正しく未収金処理されているかの確認などがあります。
論点③ 経費項目
・個人経費が混在していないか
これは、鉄板の論点ですね。どの法人の調査でも個人経費の混在については、しっかりとみられます。
医療機関での指摘が多い事項は「交通費、消耗品費、交際費、厚生費」などがあります。
(それ以外の指摘がないわけではありませんが。)
こちらも反面調査の可能性を想定しておく必要があります。
■交通費・・・・新幹線や飛行機の予約者名との照合
■交際費・・・・飲食先などの予約台帳との照合
・事業供用割合は適正か
状況に応じて、自己否認の必要がある場合があります。
法人の場合は、自己否認はありませんが、その分事業に使っているという実態がより重要となります。
自己否認が必要な場合、その割合が適正か否かの確認をされる場合があります。
経費については特に個人経費の混在についての確認が大多数を占める、というのが私の経験則からの提言です。
きちんと「経費といえるだけの理由を備えた支出か」という点が重要になります。
論点④ 源泉所得税
・甲欄、乙欄、丙欄は正しく徴収されているか
源泉所得税の論点も忘れてはいけません。特に代務の先生は給与が高額になることが多く、
乙欄の徴収だとかなりの額がでる場合があります。
源泉徴収については、特に扶養控除申告書の保存が重要です。日払いの先生ですと、
丙欄の源泉徴収を指摘されることもあるので留意しましょう。
・退職所得の受給申告書は正しく保存されているか
退職金の場合は退職所得の受給申告書に基づき源泉徴収税額を決定します。
これらの書類が調査時に提示できない場合、源泉徴収に関して指摘を受ける可能性があります。
しっかり保存をしておきましょう。
・給与となるべき論点はあるか
「特定の従業員さんなどに利益になる行為」「従業員への高額物品の現物支給」などは給与と認定され、
源泉徴収の不備を指摘されることもあります。特に代務の医師、歯科医師の先生については、
引き留めの目的もあって、支出が増える場合もあります。注意しましょう。
以上、医療機関の税務調査について述べさせていただきました。
弊社は医療機関のお客様が非常に多く、医療機関特有の税務、経営上のご相談などについてもグループ全体で対応させていただくことが可能です。
是非、ご興味を持たれた方は下記ページのフォームよりお気軽にお問い合わせください。