2022/10/28
国税庁「副業300万円以下は雑所得」を見直し
はじめまして。
新入社員、有村です!
早いもので入社してからあっという間に半年が経ち、季節は秋になりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
今回は、どんでん返しが起こった「副業300万円問題」についてお話します。
副業で収入を得た場合、「事業所得」または「雑所得」のどちらかで確定申告しますが、どちらも所得金額の計算は「総収入金額-必要経費」と同じです。
例えば、副業を始めて最初のうちは、費用がかさんで利益が出せず、赤字になることもあると思います。
「事業所得」は、赤字の場合に他の所得から控除できる損益通算や、青色申告特別控除などの特典がありますが、「雑所得」は、これらの特典はありません。
この「事業所得」の判断基準については、長年、具体的な取り決めはありませんでしたが、国税庁は8月1日に「令和4年分から副業で300万円以下の場合、事業所得ではなく雑所得とする」という内容の意見募集を開始し、7,000件を超える意見が寄せられていました。
10月7日に公表された改正通達では、同内容が削除された上で、「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存」があれば概ね「事業所得」に該当する旨が示されています。
国税庁から通達などの改正案が発表されると、内容に関して意見の募集はするものの、ほぼ原案通りで改正されるというのが通常のケースなので今回は異例と言えるでしょう。
昨今、キャリアアップや将来の不安から、副業や兼業を希望する人は年々増加傾向にあり、国は副業や兼業を推進しています。(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
しかしながら、「副業300万円問題」が残ったままでは事業スタートの足かせともなりかねないため、今回の改正通達で「収入金額が 300 万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば、原則として、事業所得に区分される」ことは喜ばしい事ですね。
令和4年分以後の所得税に適用されますので、確定申告で帳簿書類の整理をした際、このコラムを思い出していただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。