労務
2022/11/14
“誕生日前日”に歳をとる謎
こんにちは、社労士法人の東です。
労務手続きで何かと以下のような表現を目にしたことはありませんか?
・満40歳に達する日の属する月 (介護保険料の徴収開始) ・養育する子の1歳到達日 (育児休業終了) |
など…この場合の「◯歳に到達する日」は誕生日当日ではなく、誕生日の前日です。
特に前者は、1日生まれの方は誕生日の前月分の給与から反映する必要があり
間違えやすいポイントでもあります。
(例:11月1日生まれ→10月分より徴収開始/11月2日生まれ→11月分より徴収開始)
満年齢は”そういうもの”だからと覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも満年齢は、なぜ誕生日当日に加算しないのでしょうか?
実は、年齢計算の考え方は「年齢計算ニ関スル法律」という法律に定められています。
その計算方法に基づくと、誕生日の前日に歳をとることになるのです。
年齢計算ニ関スル法律を要約すると以下の通りです。
・起算日は出生の日とし、暦に従って計算する。
・期間は起算日に応答する日の前日に満了する。
(原文リンク:e-Gov 明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)
関連条文:e-Gov 民法第百四十三条(暦による期間の計算))
ここで注目したいのは、「前日」という表現です。
「前日」という期間自体が終わるのは、時刻で考えれば24時です。
24時は翌日の0時と同じだから、誕生日の当日0時と同じでは?と疑問に思われるかもしれません。
当然時計を見る通り、0時と24時の間はありません。
しかしそれぞれ異なる日を示している、つまり、日単位に変換すると別日になるという違いがあるのです。
「”暦の始点と終点”として前日24時(終了)と当日0時(開始)がそれぞれ存在する」
とイメージするとわかりやすいかと思います。
そして年齢計算ニ関スル法律で定められている期間は、○時という時刻単位ではなく「前日」という日単位です。
日単位に換算した場合には、前日24時は「前日」に、当日0時は「当日」になります。
○歳に到達する瞬間=前日24時であり、到達する日=前日ということになるのです。
まとめも兼ねて、具体的な日付を当てはめてみましょう。
・2月29日生まれの人は前日2月28日24時に年齢が加算される。
→年齢が加算される”日”はいつ?→前日2月28日
・4月1日生まれの人は前日3月31日24時に年齢が加算される。
→年齢が加算される”日”はいつ?→前日3月31日
いかがでしょうか?
この2つの例を考えると、閏年生まれの人が毎年同じように年を取る理由や
早生まれの人の入学時期についても説明がつくのではないでしょうか。