労務
2023/07/03
人材のミスマッチと退職勧奨
こんにちは、労務の山口です。
春に採用した新しい従業員が事業所の戦力として活躍するようになる時期ですが、
弊所が受ける労務相談の一つに退職勧奨があります。
昨今は2024年問題が大きく取り上げられておりますが、
弊所の顧問先様には医療機関がとても多く、人材不足は深刻な問題です。
特に医師、歯科医師、看護師や歯科衛生士等の有資格者については
熾烈な人材確保争いが起こっています。
そんな中せっかく費用や労力を割いて募集した人材でも、
実際採用してみたら事業所の求める人物像とのミスマッチは
どうしても起こってしまうことがあるので、
その際にどのように従業員に退職してもらうかというご相談をいただきます。
能力不足、勤怠不良、協調性の欠落等で業務に支障があり
事業所として当該従業員にこのまま働いてもらうのが難しい場合、
客観性に基づいて段階を踏んで退職してもらう流れになります。
まずは当該従業員の問題行動に対して事実確認と指導をします。
この際に面談の記録をつけておくとよいでしょう。
改善が見られない場合、業務改善指導書を作成して当該従業員に通知、
受領欄に署名押印をしてもらいます。
内容はどのような問題行動がありいつまでにどのように改善が必要か、
簡潔かつ具体的に記載する必要があります。
業務改善指導書はインターネットで検索するとテンプレートが出てきます。
それでも改善が見られない場合、退職勧奨に進みます。
あくまで従業員本人が事業所とのミスマッチを自覚して
退職の意思を持つためのものですので、本人が退職勧奨拒否をする場合もあります。
退職勧奨拒否があった場合でもその後の本人の業務遂行や改善の意思を確認して
ある程度の退職勧奨は可能ですが、
過度な退職勧奨と捉えられないように慎重に進めます。
退職勧奨の結果本人が退職の意思を示さず
事業所の求める業務遂行能力に達していない場合には
解雇手続きを進めることになります。
労働契約法16条
「解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、
その権利を濫用したものとして無効とする」
により不当解雇とならないように注意が必要です。
せっかく入社してもらった従業員ですので上記のように業務改善の流れを計画し、
指導を重ねて改善がみられ一緒に働いてもらえたらそれに越したことはありませんし、
最悪解雇となる場合まで慎重に証跡を残すことがポイントです。
最後までお読みいただきありがとうございました。