2023/08/21
司法書士とは?~生前対策
初めまして、司法書士の中村です。 さて、皆さん、司法書士の仕事と言えば、どういうことが思い浮かびますか? というより、司法書士ってそもそも何?弁護士との業務の違いは何?という疑問を持つ人が多いと思います。 司法書士の業務として、一番の主力業務が、登記業務です。 登記とは?という説明は省きますが、弁護士も登記業務はできます。 弁護士の資格を持っている人は、司法書士の資格の登録もできるからです。 では、なぜ、弁護士が登記業務を行わないのか? 単純に費用対効果の問題だと思います。(単純に、弁護士が行う裁判業務のほうがより収入が多くなる) 過去に、司法書士業務の報酬の算定基準がありました。○○の登記を行えば、報酬▲▲円とか。 今は、そういう基準は撤廃されましたが、おそらく当時の名残があるかと思います。 昔、報酬3万円でやっていた登記を今30万円でやります!と言っても誰も依頼してくれませんので。 そして、司法書士の業務で、大きな割合を占めるのが相続(登記)、そして、その相続が始まる前に行うのがいわゆる生前対策と言われるものです。 生前対策について、主だったものは、下記の3つです。 ①遺言 ②信託 ③任意後見 ①遺言 遺言を残すことで、残された人の争いの種を無くし、信託という行為をすることで、若い人に財産の管理を託し、任意後見という契約をすることで、自分がもし寝たきりなどになった時に面倒を見てくれて、また、色々な管理をする人を指定します。 遺言について、もう少し詳しく書くと 1.自筆証書遺言、2.公正証書遺言 というものがあります。 本来、遺言なんだから、形式にこだわらず、自分の好きなようにというのが大原則です。 誰かに指図される覚えはありません。 でも、自分にしか分からない、もっと言えば、身内にしか分からない、そういう形式の遺言を残したとして、それが日本国民全員に、ひいては、世界中の人に通用する遺言と言えるのでしょうか? その遺言をした相続人から何かを買っても、皆に通用しない遺言だったとしたら、買った人も危なくてしょうがないですよね。買う人すら出てこないかもしれません。 そのために、自由な自筆証書遺言に、法律として、一定の形態、様式を与えるわけです。 その様式に反している遺言は、その一部、もしくは全部が無効になります。 更にその様式違反を避けるために出てくるのが公正証書遺言と言われるものです。 事前に公証人という資格の人がキチンと精査してくれるので、様式違反という事態は出てきません。 更に、公証役場でその遺言を保管してくれるので、そういう方面でも安心です。 費用は当然、かかりますが。 ②信託 続いて、信託についてのご説明です。 例えば、アパートを経営しているとして、自分が高齢だから、息子に管理を任せたい、そういう場合に出てくるのが信託です。 アパートの管理は、息子に任せ、そこから出てくる収益は自分が受け取る、そういう方法を取れるんですね。 法律用語的には、委託者、受託者、受益者、なんて言いますが、そんなものは気にする必要はありません。 信託を利用すれば、今までできなかった色んな形態を構成することができますので、興味がある人は調べてみたり、専門家に確認してみてもいいかもしれません。 ③任意後見 最後に、任意後見について。 任意後見とは、もし、自分が認知症になったとき、高齢になったとき、寝たきりになったとき、自分が持っている財産などを、誰かに管理してもらいたい、自分が元気なうちに遺す契約にも該当するものです。 管理してもらう人は、自分の身内でも構いません。 元気なうちに、息子にこういうことをしてほしいと二人で契約を交わすわけです。 そして、自分がそういう状態になったときに、その契約が発効して、管理などが始まるわけです。 信託と似たところがありますが、似て非なるものです。 全て、生きている間にしかできない行為であり、もし認知症などになってしまったら、もうできない生前対策です。 元気なうちに、もし…になったら、もし…なら、という「もし」を想定して、自分のため、そして、自分の家族のため、そういう行為、対策を考えてみてもいいかもしれません。 以上です。