労務
2023/12/06
12月にも改定?特定最低賃金に注意
こんにちは、労務の東です。
10月より全国で最低賃金が改定され、2023年は全国加重平均で43円の引き上げが行われました。
それにより全国平均時給額は1,004円と、初の1,000円超えとなり
驚かれた方も多いのではないでしょうか。
今後も年々引き上げられていくことが予想されますが、実は、一部の最低賃金は
毎年12月に改定されることをご存知ですか?
例年10月に見直し・改定が行われる最低賃金は、地域別最低賃金という名称のもので
対象の地域内の「すべての労働者」に適用されます。
それぞれ47都道府県ごとに金額が設定されており、例えば愛知県は1,027円というように定められています。
最低賃金には他にも種類があり、特定(産業別)最低賃金(以下「特定最低賃金」)という名称の最低賃金も存在します。
適用範囲は特定の産業に限定され、産業の種類は地域により異なります。
各都道府県によって、中心となる産業に従事する労働者(基幹的労働者)に対する
最低賃金額を、他の産業の最低賃金額よりも高く設定することで、労働力の質的向上や
事業の公正な競争の確保を図る目的があります。
例えば愛知県では、「製鉄業、製鋼・製鋼圧延業、鋼材製造業」と「輸送用機械器具製造業」が対象の産業となっています。
特定最低賃金額は2023年12月16日から改定となり、金額は以下の通りです。
最低賃金名 |
時間額(円) |
時間額(円) |
適用労働者の範囲 |
---|---|---|---|
製鉄業 |
1,027円 | 1,059円 |
左の各産業に属する事業場で働く労働者 ただし、次に掲げる適用除外労働者については、 適用除外労働者 ● 輸送用機械器具製造業 |
輸送用機械器具 |
1,027円 | 1,028円 |
※1 表面処理鋼材を除く。
※2 建設用ショベルトラック製造業を含む。船舶製造・修理業、舶用機関製造業、
自転車・同部分品製造業を除く。
特定最低賃金は目的から考えても、地域別最低賃金よりも高く設定されることが多いのですが
地域別最低賃金の方が高い水準になるケースもあります。
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方の適用労働者に該当する場合は、高い方の最低賃金額が適用されることになります。
特定の産業においては、10月には地域別最低賃金を下回っていないか、
12月には特定最低賃金を下回っていないかと
二段階で賃金を確認する必要がある点にご注意ください。
特定の産業の種類自体も変動する可能性がありますので、地域別最低賃金とあわせて
毎年忘れずに確認する運用をお勧めいたします。