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2023/12/11

節税の王道、その注意点

節税の王道、その注意点

こんにちは、名古屋税務チームの森山です。

顧問先と面談をする中で、やはり節税は経営者の大きな関心事だと実感します。

私は節税の方法は下記の3つに大きく分けれらると考えています。
①税額控除
②所得分散
③所得の繰り延べ

このうち③の所得の繰り延べとして真っ先に挙げられるのが
「経営セーフティ共済=倒産防止共済」です。
節税といえばまずはこれというもので、私も数多くの企業に提案をしてきました。

~概要~

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、
中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、
掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。

ポイント1 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能
 共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。
 共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か
 「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、
 いずれか少ないほうの金額となります。

ポイント2 取引先が倒産後、すぐに借入れできる
 取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、
 その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。

ポイント3 掛金を損金、または必要経費に算入できる
 掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。
 また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、
 または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。

ポイント4 解約手当金が受けとれる
 共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。
 自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、
 40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。

https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/features/index.html

 ※医療法人は加入できません

ただしこの制度の活用にあたって3つの注意点がございます。

①申告書への一定の書面の添付が必要
 法人の場合には「別表十(七)」、
 個人の場合には「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を
 申告書に添付する必要があります。
 
 この書面を添付することで初めて掛金が全額損金(又は必要経費)となります。
 添付を忘れてしまった場合は・・・掛金は全額資産計上となってしまいます。
 この点は本当に気を付けなければならないことです。

②あくまで繰り延べであり、かつ部分解約ができない
 掛金の全額が損金にはなりますが、裏を返せば解約返戻金は全額益金となります。
 所得金額が少なく税率が低いタイミングでの解約をしなければ
 全く意味がないことになってしまいます。
 以前、とある個人士業者の顧問先にこの制度を提案した際に、
 掛金が損金になるのは大変メリットに感じていただけたのですが、
 将来的に税率が下がるタイミングがないだろうということで加入を見送りされました。
 さらに部分解約はできず全額解約になってしまうため、
 最大800万円の雑収入が計上されてしまうということです。
 下手すればこれで税率が上がってしまう可能性も・・・
 この点は部分解約ができる生命保険を活用した方が、
 上手に繰り延べができると考えられます。
 いずれにしてもきちんと出口のことも考えて加入すべきだと私は思います。

③資金の固定化
 掛金が損金になるため節税ができるわけですが、
 この掛金は解約時まで完全に塩漬けになってしまいます。
 この掛金を設備投資に回して利益を生み出す可能性や、
 株式や投資信託等に投資をすることによって
 複利効果が得られる可能性を無視してはいけません。
 節税は資金を増やす目的のはずですが、その目的のために他の手段も検討すべきです。

以上を踏まえて節税と「経営セーフティ共済=倒産防止共済」の加入を
ご検討いただければと思います。

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