2024/01/18
民法改正~錯誤は無効ではなく取り消される~
こんにちは!
行政書士法人の三浦です。
さて、2020年4月1日施行の改正民法では、意思能力の瑕疵(錯誤)についての重要な改正が行われました。
民法を勉強していた人にとってこの改正は大きなもので、改めて確認しなければいけないことも多いですね。
今回、民法改正で私が特に驚いた改正をピックアップさせていただきます!
それは、錯誤が無効ではなく取り消しになった点です。
錯誤無効、詐欺取り消しと覚えていた人にとっては今までの常識が覆る改正ですね。
では、そもそも無効と取り消しの違いって何でしょう?
それは、
①無効は誰でも主張することができ、
②無効を主張することができる期間に制限はない。
という点です。
取り消しは行使権者は誤解した者だけで、しかも期間制限は5年と決まっています。
それに対し無効は行使権者に制限はなく、しかも期間制限もありません!
でも、これでは詐欺を受けた人と錯誤をした人とのバランスを欠いてしまいます、、、
そこで、今回の民法改正で錯誤の法的効果を取り消しにした、という次第です。
実は、錯誤については条文も長くなっているんです。
これは、判例を条文に取り入れた背景があります。
昔の錯誤の条文は
第95条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
でした。
今は・・・
第95条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上
の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示
されていたときに限り、することができる。
3、4(略)
判例の要件が盛り込まれ、かなり細かく規定されましたね。
細かくて良くわからない・・・のであればこちらの3つを押さえておけばOKです!
① 意思表示が錯誤に基づくものであること
② 錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであること
③ 動機の錯誤については、動機である事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていること
今回の民法改正で、錯誤の他にも代理に関する規定や危険負担に関する規定なども改正の対象になりましたね。
現代の状況に沿った、判例も踏まえた改正になっています。
また、次回のコラムで別の改正について解説させていただきますね!