税務
2024/05/01
ものほじょ・事業再構築補助金の基礎知識 |活用時の注意点も解説!
こんにちは!名古屋の会計事務所、グロースリンク税理士法人の浅田です!
ものづくり補助金(ものほじょ)・事業再構築補助金の活用を検討している方へ。ものづくり補助金と事業再構築補助金は、中小企業の経営改善や事業継続に役立ちます。
しかし、申請が複雑なため、独自で行うにはハードルが高い現実があります。そこで本記事では、両方の補助金の概要や違い、併用の可否について徹底解説。
また、記事の最後に、補助金申請サポートに強い税理士事務所として、「グロースリンク税理士法人」を紹介しています。専門知識を持つ税理士にサポートを依頼すれば、経営者の負担を軽減できます。ぜひ参考にして、経営の立て直しを図りましょう。
ものほじょ・事業再構築補助金の概要・違い・併用について
「ものほじょ」や「事業再構築補助金」について、4つのステップで解説します。
- ものづくり補助金の概要
- 事業再構築補助金の概要
- ものほじょ・事業再構築の併用
- 事業再構築補助金の今後の見通し
ものづくり補助金と事業再構築補助金について、流れに沿って理解していきましょう。
1.ものづくり補助金の概要
「ものほじょ」は、中小企業の生産性向上を促進する制度です。支援される資金は、プロセスの改善やサービス開発などの目的に使われます。
ものほじょの申請要件は、事業計画において以下の3点を満たす必要があります。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上に増加
- 事業所内の最低賃金を毎年、所在の都道府県別の最低賃金+30円とする
- 事業者全体の付加価値額を年率3%以上増加させる
申請の際には、ガイドラインに沿って計画を立案する必要があります。小売・サービス業の場合は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に従います。製造業であれば、「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」を参照してください。
2.事業再構築補助金の概要
「事業再構築補助金」は、事業の効率化・競争力強化を目的とした補助金です。特に、既存事業の枠を超えた取り組みの支援を目的としています。
具体的には、以下のうちいずれかに該当していることが「事業再構築」の用件となります。
- 新分野展開
- 業態転換
- 業種転換
- 組織再編
- 国内回帰
事業再構築補助金には、基本要件が定められています。応募する場合には、以下の要件を満たす事業計画の策定が必要です。
- 事業再構築要件
- 認定支援機関要件
- 付加価値額要件
事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の社会変化に対応し、日本経済の構造転換を後押しする狙いもあります。
3.ものほじょ・事業再構築の併用
ものづくり補助金と事業再構築補助金の併用は可能です。ただし、同一の事業での併用は認められていません。
併用する場合は、以下の条件を満たす必要があります。
- 事業の目的や対象が異なること
- 事業計画の対象となる経費が異なること
- 事業計画の策定機関が異なること
具体的な例として、ものづくり補助金で設備投資を行い、事業再構築補助金で新たなシステム開発に向けた設備投資の申請、といった併用が考えられます。
併用する場合は、両方の補助金の公募要領をチェックし、条件を満たす事業計画の策定が必要です。
税理士や公認会計士などの専門家に、前もって相談するとよいでしょう。
4.事業再構築補助金の見通し
事業再構築補助金は、内容が抜本的に見直されました。コロナ禍による業績悪化を改善するための補助金から、新たな事業への積極的な投資を支援する補助金へと大きく変わりました。経済活動が回復基調へ向かっており、今後の中小企業等の挑戦を支援することが大きな目的となっております。
現時点では、第12回公募の募集が開始されており、申請期限は7月26日(金)となっています。新規事業への参入や、事業の立て直しを検討されている方は、お早めにご相談するとよいでしょう。
補助金申請に税理士を活用する5つのメリット
税理士に補助金申請のサポートを依頼するメリットは以下の5つです。
- 業界や企業の専門知識とノウハウ
- 正確な事務処理能力
- 事業計画書の作成をサポート
- 採択・補助金交付決定後のサポート
- 経営者が事業に専念できるトータルサポート
税理士は顧問企業の内情をよく把握している「かかりつけ医」のような存在です。まずは身近な税理士に相談してみましょう。
1.業界や企業の専門知識とノウハウ
税理士であれば、業界や企業の専門知識とノウハウを豊富に持っています。顧問税理士であれば、事業の内容・経営課題はもちろん、業界や競合他社の動向までも理解しているケースも珍しくありません。複雑で手間のかかる補助金申請のサポートもスムーズに行えます。
ただし、税理士の全員が補助金業務に精通しているわけではない点は理解しておく必要があります。そのため、顧問税理士が補助金の申請手続きに慣れているのか確認が必要です。初見であっても、同業種で補助金手続きの実績がある税理士だと、安心して任せられるでしょう。
2.正確な事務処理能力
正確な事務処理能力も税理士に依頼するメリットです。
補助金の申請時においては、募集要項を熟読し応募枠に沿った書類の準備が必要です。
必要な年度の決算書・税務申告書等の該当ページなどを揃えて、期日までに提出しなければなりません。
補助金にかかる専門用語や法令に関する記述を理解し、不備や誤字脱字にいたるまで、正確な処理が求められます。自社の要員が日常業務と並行して行うのは、リソースの面で大きな負担となるでしょう。
税理士であれば処理に慣れており、採択されるための適切なサポートが可能です。
3.事業計画の作成をサポート
3つめのメリットは、事業計画の作成をサポートしてくれる点です。補助金申請には、事業計画書の提出が求められます。
政府にとって補助金は、政策目的を達成する手段です。補助金の活用により事業が発展し、政策目的に合致すると示す必要があります。漏れなく、簡潔に説明しなければならないため、難易度の高い作業です。
事業計画書の作成には、自社の概要・沿革などの説明、強みや弱みの自己分析が必要です。加えて、業界環境なども客観的に分析します。その結果、応募する必要性を説明し、補助金を活用してどのように事業運営するのかが問われます。どういった収支計画となるのかを記さなければなりません。
税理士の専門性が、事業計画の作成に役立ちます。
4.採択・補助金交付決定後のサポート
メリットの4つめは、採択や補助金交付決定後のサポートもしてくれる点です。申請が無事採択されても、そのままでは補助金の交付はされません。
補助金の交付には以下の手続きが必要です。
- 補助金に使用する経費の見積りなどの書類を揃える
- 交付決定(補助金の交付が内定する)を受ける
- 補助金を活用し経費の支払い後の実績を報告する
また、補助金交付後も年に1度の事業化状況報告をする必要があります。事業再構築補助金の場合、既存事業と補助金を受けた事業とを区別して報告する必要があります。そのため、経理や総務のリソースへの負荷は避けられません。中小企業にとって、大きな負担になるでしょう。
税理士であれば、そうしたサポートも問題なく対応できます。また、補助金による固定資産の購入に対する圧縮記帳などの税務・会計処理もお手伝い可能です。
5.経営者が事業に専念できるトータルサポート
税理士に依頼するメリットの最後は、経営者が事業に専念できるトータルサポートです。専門家から適切な援助をタイムリーに受けられるため、安心して事業活動に専念できます。
補助金業務に精通した税理士なら、申請に必要な書類から、補助金交付後の事業化状況報告まで一気通貫して対応。コンサルティング会社に依頼する場合と違い、採択後、あるいは交付後の援助まで任せられます。税理士であれば、長期にわたりトータルサポートできます。
補助金活用における4つの注意点
補助金活用における注意点は以下の4つです。
- 費用の発生
- 申請から交付までのスケジュール
- 補助金は後払い・益金算入
- 要領の変更に対応するための情報収集
補助金は国策による資金調達手段なので、返済義務は原則生じません。しかし、補助金独特の注意点について理解が求められます。順に解説していきます。
1.費用の発生
申請サポートを依頼すれば、税理士に限らず報酬が発生します。相場は、案件の規模や難易度によります。一般的には、補助金申請の採択や交付決定額の15%〜20%程度が相場です。
支払い内容は、着手金+成功報酬のケースや、成功報酬のみの場合など様々です。支払いタイミングが、補助金の交付よりも先になるケースも多いため注意してください。
また、専門家への報酬については、補助金の資金使途として認められる可能性が低い点も注意しましょう。
2.申請から交付までのスケジュール
補助金を受け取るまでには時間がかかります。そのため、申請から交付までのスケジュールを把握しておく必要があります。
ものづくり補助金の標準的なスケジュールは以下の通りです。
段取り |
期間 |
募集締切 |
約2カ月 |
採択発表 |
|
交付決定 |
約3カ月 |
補助事業実施期間 |
8か月以内 |
実績報告 |
|
確定検査 |
約2カ月 |
補助金の請求 |
|
補助金の受け取り |
|
事業化状況の報告 |
事業計画終了まで |
補助金申請の締切日から、実際の補助金の交付まで、最短で1年半かかります。また、交付後も事業計画が終了するまでは、状況報告する必要があります。
したがって、補助金の活用前後の資金計画や、作業の段取りを綿密に立てましょう。事業再構築補助金についても、概ね流れは同じです。
3.補助金は後払い・益金算入
補助金は後払いであり、益金を算入する点にも注意が必要です。申請が採択されると、以下の流れで補助金を受け取ります。
- 事業計画等で言及した補助金の資金使途の見積書等の写しを事務局に提出
- 見積書を確認後、補助金の交付決定の通知書を受け取る
- 交付決定を受けたあと、補助金を活用して実施しようとしている事業を行う
補助事業が設備の導入であれば、見積書通りに購入・設置し、事業計画で記載した生産性向上などの効果を測定します。
- 結果を事務局に実績報告する
- 事務局の確定検査を受ける
- 検査に合格すれば、補助金を請求する
- 補助金を受け取る
設備の購入には、補助金以外の資金調達が一時的に必要になるケースもあります。また、補助金は、会計上では営業外収益、税務上は益金算入として計上される点も注意してください。場合によっては、補助金受領後の税務対策も必要になります。
4.要領の変更に対応するための情報収集
政府が実施する補助金事業は、政策目標に合わせて修正・変更される場合があります。
あくまで、政策目標に合わせて、事業者の取り組みに必要な資金の一部を給付する仕組みであるからです。
したがって、情勢の変化と政策目標の進捗により、募集要領も見直しを受けていきます。今までは採択されていたものが、次回からは対象外となる可能性もあるのです。
令和5年6月30日締切の「10回事業再構築補助金」の募集時には、それまであった通常枠が廃止されています。
そのため、第10回以降に申請する場合、他の応募枠に変更する必要が生じました。申請内容が要件に合致するのか、再検討する必要があります。補助金に精通した税理士なら、こうした内容変更にも対応できます。
ものづくり補助金の具体事例を紹介
ものづくり補助金の具体事例を紹介します。
補助金の申請要件や手続きは複雑ですが、具体的なイメージがつかめるでしょう。製造業以外の活用例も紹介するので、参考にしてください。
参照:令和4年度 ものづくり・商業・サービス補助金成果活用 グッドプラクティス集 |令和5年3月 全国中小企業団体連合会
1.先端技術導入でボトルネックを解消事例
三重県の「林口工業株式会社」は、カーテンのロールスクリーンメーカーです。遮光、防塵、防音等の機能をホテル、商業施設、スポーツ施設など幅広く提供しています。
特殊な高機能ロールスクリーンであるためオーダーメードの製造工程が多く、熟練者が手作業で対応していました。しかしながら、受注が集中するとボトルネックとなり、生産効率の落ち込みが問題となっていました。
そこで、ものづくり補助金を活用し自動裁断機を導入しました。すると切断精度がアップし、製造リードタイムが約25%削減。材料の歩留まりや作業ミスも減少し、効率は約5倍アップしました。
補助金の応募に際しては、社内でプロジェクトチームを立ち上げて対応しています。今後の自社の在り方を考える機会になるなど、人材育成にもつながりました。
2.自動精算機の導入で人材のマルチタスク化を実現
北海道にある「有限会社ホテル十勝屋」では、チェックイン・チェックアウトの自動精算機を導入しています。自動化の実現により、フロント業務の効率化につながり、待ち時間も縮小されました。結果、顧客リピート率も導入前の60%から72%に向上したのです。
また、要員のリソースに余裕ができたため、フロントスタッフがレストランや弁当事業を兼務できるようになりました。自動精算機導入により、要員(従業員)のマルチタスク化を実現。宅配弁当事業は「5年計画・売上高5000万円」を2年前倒しで達成できています。
補助金サポートに関するグロースリンク税理士法人の強み
補助金サポートに関するグロースリンク税理士法人の強みを紹介します。
- 税理士ならではの補助金サポート
- 社労士事務所とのネットワークで事業化状況報告もスムーズ
- 補助金申請にも精通
補助金の申請事務や手続きは煩雑です。グロースリンク税理士法人では、事務手続きだけでなく、交付後の税務・会計に加え経営面でのサポートも可能です。
設備の新規導入や、革新的な商品開発をしたい方は、ぜひご覧ください。
1.税理士ならではの補助金サポート
グロースリンク税理士法人では、補助金の申請サポートに長けた専門家が在籍しています。もちろん、ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請サポートも対応できます。
事業計画書の作成、申請書類の提出、採択から補助金交付まで専門知識で支援可能です。加えて、補助金により取得した固定資産の圧縮記帳や、補助金にかかる税負担の軽減など会計・税務サービスも得意とします。
また、事業化状況報告に備え、補助事業と既存事業の管理会計設計なども支援可能です。
2.社労士事務所とのネットワークで事業化状況報告もスムーズ
グロースリンク税理士法人では、グループ内に社労士事務所を併設しています。そのため、事業化状況報告など関連分野にまたがる手続きもスムーズです。
ものづくり補助金や事業再構築補助金は交付後、約6年間にわたり事業化状況報告の義務があります。特にものづくり補助金では、進捗が未達の場合は注意が必要です。給与支給総額の増加目標と事業所内最低賃金、どちらかが未達成の場合は全額返還が要求されます。
グロースリンク税理士法人では、ワンストップで迅速かつ正確な給与計算や賃金情報を分析できます。補助金の交付後も見据えた、トータル面で安心できるサポートが可能です。
3.医療機関の補助金申請にも精通
グロースリンク税理士法人は、現在250件以上の医科・歯科医院から取引を頂いております。そのため、クリニックにおいても、補助金の申請について提案できます。
実現可能な例としては、最新の医療機器の導入、CTスキャナー導入によるDX対応や、ミリングマシンの導入などです。補助金の導入により、プロセス改善による生産性の向上を実現できます。さらに、医療機関の人手不足や、残業を含めた労働時間の効率化も成功へ導けます。
医療機関の補助金活用について税理士視点で解説
ものづくり補助金や事業再構築補助金は、医療機関でも活用できます。問い合わせを多く頂くので、以下のセクションごとに取り上げます。
- 医療法人の場合
- クリニック(個人事業主)の場合
- MS法人の場合
医療機関における補助金の活用について、税理士の視点で解説します。
医療法人の場合
医療法人における補助金活用について解説します。
医療法人は医療法の規定に基づいて運営される特別法人です。そのため、補助金の目的とは合致せず、対象外となります。
社会福祉法人に関しても同様ではありますが、公的保険制度の範囲外で行う事業を行っている場合に限り、事業再構築補助金が適用されます。要綱に従って申請し、採択されれば支払われるので覚えておきましょう。ただし、ものづくり補助金は適用されませんので、注意が必要です。
クリニック(個人事業主)の場合
個人事業主が経営するクリニックについても解説します。
個人事業主として病院や一般診療所、歯科診療所、助産所、歯科技工所などを開業している場合は、補助金の対象になりますが、自費診療に関連する設備投資の場合に限り、補助金を申請することが可能となります。個人のクリニックは、通常の営利事業と同様の扱いです。
ものづくり補助金では、マイクロスコープを活用した歯肉クリーニングサービス等のIT機器の導入による生産性向上に活用できます。事業再構築補助金では、DXを活用したオンライン診療への進出などが考えられます。
MS法人の場合
MS法人(メディカルサービス法人)は、形式的には補助金の対象です。
しかしながら、法人の実態が単なる資産管理会社の場合は、採択が難しいと思われます。仮に、MS法人として補助金を調達できた場合も、クリニックなどへの流用は禁止されています。
ただし、歯科医師が別会社で歯科技工所を経営し、その歯科技工所の事業に補助金を活用する場合は、申請が可能です。実体を理解したうえで申請しましょう。
補助金の申請サポートはグロースリンク税理士法人へ
「ものほじょ」「事業再構築補助金」の申請には、時間と専門知識が必要です。税理士であれば、専門性の高い経営アドバイスで幅広くサポートできます。
グロースリンク税理士法人であれば、補助金の採択はもちろん、交付後の事業化状況報告を含め、トータルな支援を提供します。
特に、医療事業を経営されている方で補助金の活用をお考えであれば、グロースリンク税理士法人は強い味方になります。ワンストップで円滑に対応できるので、いますぐ下記URLから無料で問い合わせしてみましょう。