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2024/07/03
経営者必見!クレドを作りましょう!
グロースリンク株式会社 人事コンサルタントの大澤です。
先日お客様を訪問した際、社長様から「クレドを持つことでどんなよいこと(効果)がありますか」という質問をいただきましたので、今回はクレドのお話をしたいと思います。
1.クレドとは?
クレド(credo)の語源はラテン語の「志」「約束」や「信条」から由来しています。
企業において用いられるときは、その企業の「行動指針」や「価値観」を指します。
2.クレドと経営理念の違いは?
(1)クレドは進化する
明確な境界はありませんが、クレドはたえず進化をします。
経営理念や企業理念は、その企業の根幹であり大黒柱になっているものです。したがって経営理念や企業理念は簡単に変更できません。一方、クレドは時代にあった考え方を推奨するので進化することができます。たとえば、企業内で必要に応じてクレドの内容が進化するというケースも少なくありません。
(2)クレドは具体的、実践的
クレドは従業員への共有・浸透を目的としていますので、より具体的、実践的な内容になっています。
つまり、クレドは「業務活動や行動に落とし込みやすい」といえるでしょう。
当グループのクレドをご紹介します。19項目の具体的な行動指針が明確化されています。
時代の変化にあわせ何度か改変しています。
従業員一人一人にクレドブック(説明書)とカードを支給し、毎週全員集合の会議冒頭で唱和・内容研修をし浸透をはかっています。
3.クレド導入が求められる理由
(1)コンプライアンス、ガバナンス強化
クレドの導入が進んだ背景として、企業で多くの不祥事が起きていることにあります。コンプライアンス及びガバナンスの遵守・強化が求められる中、体制構築ルールの制定とともに、クレドによる従業員行動指針の策定と意識改革に取り組む企業が増えてきました。
クレドは全従業員が実践すべき従業員の行動指針であるため、クレドに則って行動すれば従業員の倫理観は統一され、不祥事なども起こりにくくなっていきます。
また、経営理念や企業理念より具体的な行動に落とし込みやすく、コンプライアンス及びガバナンス強化の期待ができます。
「タイレノール事件」をご紹介します。
<タイレノール(解熱鎮痛薬)への何者かによる毒物混入事件とジョンソン社のクレド>
「米国ジョンソン・エンド・ジョンソン(ジョンソン社)の有名な「Our Credo」(我が信条)と、全社がそれを一丸となって遵守・行動した同社の有力製品タイレノール(解熱鎮痛薬)への何者かによる毒物混入事件の際の見事な対応である。
同社自身も被害者として弁明を行うことも可能な状況にもかかわらず、Credoにおいて最優先とされる顧客の安全を第一と考え、必要な情報は全て開示し十分な対応体制を整備した上で、現役の従業員はもちろん退職した元従業員の協力も得て全ての製品を店舗から回収した勇気と行動は今なお危機管理・対応の優れた事例として高い評価を受けている。
企業の存続にもつながるリスクがあった重大な危機への的確・真摯な対応が同社に対する尊敬と信頼をさらに高めることになったともいわれている。
同社のCredoは、(1)消費者(顧客)に対する責任、(2)従業員に対する責任、(3)社会に対する責任、(4)株主に対する責任という順に述べ、事業経営への取り組みの姿勢と強いコミットメント、行動のあり方を明示しており、同社のコーポレート・ガバナンスの拠り所として極めて意義の大きいステートメントである。
同社では、常日頃から役員・従業員の一人一人がCredoの意味を考え、我が物とし、それを日々の行動に活かすために努力し、会社もそれを促す機会を積極的に提供している。
内外共に、企業理念や社是・目標、行動規範などを掲げる企業は数多いが、それらが一貫した方針に基づく具体的な行動につながらなかったり、経営者が交代すればすぐに変更されてしまうケースが多いのが実状である。
単なるスローガンや飾り物でなくそれらの精神が本当にその組織の成員に浸透し行動の中で実践されてこそ価値があるのである。」
平賀 富一「ジョンソン・エンド・ジョンソンのCredo経営に見る「本物」のコーポレート・ガバナンス」2009.12.12
(2)従業員全員が同じ方向を向けるような価値観
もう一つの理由は、企業自身が独自の価値観を共有する必要性が出てきていることです。ビジネスをとりまく環境は変化が激しく不確実性が高い時代です。このような時代に、従業員は何を基準にどのように行動すべきなのか迷ってしまうこともあります。だからこそ、従業員全員が同じ方向を向けるような価値観が必要となっているのです。この価値観こそがクレドと言えます。
4.クレド導入のメリット
<主体性を持った人材の育成>
メリットは前述した、コンプライアンス&ガバナンス強化と従業員全員が同じ方向を向けることに加え、主体性を持った人財が育成されることです。
クレドは明文化されているので再現性があり、従業員教育の現場で教科書として使用することが出来ます。
したがって、現場で働く従業員は企業の意に沿った判断を主体的に考えて行動できるというメリットが見込まれます。
また、クレドを人事制度・評価制度に落とし込む企業も多いです。評価制度に落とし込む=評価項目にすることで、クレドに沿った行動ができているかを従業員と上司で相互に確認することができ効果的な人財育成に資することができます。
当グループの評価項目にもクレドが取り入れられ、毎日の行動がクレドに沿うものであったかどうか従業員自身がメモし、上司も日頃から観察し頻繁に面接することで主体的な人財が形成されていきます。
次回は、クレドの作成方法について解説していきます。