2013/10/11
(続)気になる最高裁判決 ~相続差別違憲判決を受けての国税の対応~
2013年10月11日
9月6日にこちらのコラムにも書きました
「非嫡出子の相続差別への違憲判決」を受けて、
国税庁は9月24日に相続税の計算の取り扱いを公表しました。
非常に早い対応に驚きましたが、
どうせレアケースなんだから税収のことなど気にせずに、
早いとこ実務を固めてしまおう、ということかもしれません。
決まった取り扱い内容を簡単に言ってしまえば、
違憲判決が出た9月4日までに申告書を出している分は従前の計算方法とし、
翌日の9月5日以降に申告書を出す分は
非嫡出子も嫡出子と同じ法定相続分があるものとして相続税額を計算する、
というものです。
民法の改正など待たず、違憲判決が出た日を境に取り扱いを変える、
というなかなか潔い取り扱いの変更です。
最高裁判決が税務の取り扱いを変えたものとしては、
数年前の年金保険に課される所得税の事例が思い出されます。
あのときは影響範囲が大きいうえに計算が複雑、
しかも遡って所得税を還付する方針を当時の野田財務大臣が発表したため、
当局も対応が大変だったようで、
最高裁判決から実務の取り扱いが固まって、
公表されるまでに数か月を要したと記憶しています。
「遡り」の有無は前回と今回の一つの大きな違いだと思いますが、
これについても最高裁が判決の中で
「確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨を示したから、
税務当局も判決前後でスパッと取り扱いを変えるという判断を
迅速にできたのかもしれません。
とにもかくにも、最高裁の判決の重さを再認識するできごとでした。
森嶋